子ども達の近視進行抑制を目指して
当院は日本近視学会に準拠した、医学的根拠に基づいた近視進行抑制治療に取り組んでおります。
- 日本近視学会ホームページ
- 近視の治療について
https://www.myopiasociety.jp/general/care/flow.html
『近視について』
産まれた時は、身体と同様に眼球も小さいのでほぼ全員遠視の状態で産まれます。 遠視は調節力を使って水晶体を膨らまさないとどこにもピントが合わないため、疲れないように眼軸長が伸展し(眼球が大きくなる事で)正視化していきます。
正視化した時にさらに、眼軸長が伸び過ぎて(眼球が大きくなり過ぎて)しまう事で近視化が起こります。 この眼軸の伸びは身長が伸びている間は進行し続ける事がほとんどです。 逆に言うと身長が伸びなくなった後は近視の進行は止まります。ただ、長時間のパソコン作業等の近業が多い人は20〜30代でも進行する事もあるようです。
一度生じた近視を正視に戻す事は不可能です(眼球を小さくする事ができないため)。 そこで、今現在ある程度の医学的根拠が認められている近視進行を抑制できる方法をご紹介いたします。
『近視といわれたら(保険内診療)』
初めて近視と診断された場合、年少者ほど強すぎる調節力により屈折状態が不安定ですので、その影響を除外するため、1ヶ月程度の調節力を安定化させる為の点眼治療を行います。これによりストレス等で一時的に上手く調節できないが故の近視状態を除外します。
この点眼治療をしても近視度数にあまり変化がない場合は、ほぼ間違いなく近視と診断されます。必要に応じて眼鏡装用となります。
『近視の進行を抑えるために出来る事(無料)』
30分以上の長時間の近見作業を減らしましょう。ゲームはもちろん、読書や勉強も連続して続ければより近視化しやすくなります。ゲーム機で例えますと、手に持って遊ぶスマホやタブレットより、TVに接続して離れて遊ぶゲーム機の方が少しは近視化のリスクが減ります。
世界的に日光にあたる外遊びの減少により、近視の子どもが増加することが認識されています。いくつかの国では、学校の授業を屋外で行ったり、昼休みや休憩中に外で遊ぶ事を義務付けているところもあります。
直射日光の元でなくても木陰や建物の影でも充分で、1日2時間程度が推奨されております。
『近視の進行を抑えるために出来る事(保険外診療)』
ここから先に書いてある内容は現在のところ保険適用がない近視進行予防法です。マイオピンとよばれる約50%の近視進行抑制効果があると言われ、シンガポールで売られている点眼があります。
参考:https://www.myopine-eyelens.sg/
アトロピンという眼科でもかなり古くから検査や治療に使用されている点眼液を希釈したものです。希釈しないと瞳孔散大や調節麻痺という副作用が強くて日常的な使用は困難ですが、薄めることでほとんど副作用なく使用することができ、近視進行予防効果が得られるとのことです。
日本でも多施設共同研究が行われ、有意な抑制効果が認められています。
この他にオルソケラトロジーとよばれる夜間就寝中にハードコンタクトレンズを装用することで、近視や乱視を矯正する方法があります。これを行うことで近視の進行が抑制されるデータも発表されています。
参考:
https://www.seed.co.jp/products/contact/orthokeratology.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjvissci/39/4/39_39.85/_article/-char/ja
https://researchmap.jp/nozomik1012/%E8%BF%91%E8%A6%96%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/
また、さらに一部の遠近両用ソフトコンタクトレンズにはオルソケラトロジーと似たような効果が得られる物があり、近視進行予防効果があるようです。
参考:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjvissci/36/3/36_84/_pdf/-char/ja
繰り返しますが、いずれも保険外診療になりますし、近視を治すことはできません。100%完全に近視の進行を止める効果もありません。
近視の強さはジオプター(D)という単位で表しますが、例えば−1.5Dの近視の子どもが、何もせずにおけば−6.0Dの近視になってしまう可能性を−3.0Dに留めておける可能性がある、という予防法です。
当院では、このマイオピン点眼やオルソケラトロジーもしくは遠近両用コンタクトレンズを組み合わせる事で、近視進行予防に取り組んでまいります。
詳細は「保険適用外治療(自由診療)」ページをご覧ください。