網膜静脈閉塞症について
網膜はカメラで例えるとフィルムやイメージセンサーの部分にあたり、眼の中に入ってきた情報を視神経に集めて脳に送る役割を果たしています。この網膜が傷害されると極端に視力が低下してしまう場合があるため、注意が必要です。
当院では網膜疾患の診断において必要不可欠な最新型の光干渉断層計(Nidek社製 RS-3000 Advance2)を導入し、造影剤を用いない安全かつ迅速な方法で網膜内の毛細血管を観察することが可能となっており、より正確な診断が行えるように努力しています。
網膜静脈閉塞症は高血圧や動脈硬化によって、網膜内の静脈が硬くなった動脈に押しつぶされてしまう事で生じます。心臓に戻れなくなった血液が網膜内にあふれ出すことで急激に視力が低下したり、見えない部分が出現したりします。この状態が長く続くと網膜の機能が極端に低下する場合が多いので、早急に出血や浮腫を取り除く必要があります。
出血や浮腫が黄斑部に及んでいる場合は、眼内に抗VEGF薬を投与することで視力低下を防ぎます。この薬剤の効果は高いのですが、効果の持続時間が限られているため、定期的な投与が必要となる場合も少なくありません。高額な薬剤であることにも注意が必要です。
この他に長期間効果の持続するステロイド剤を投与したり、網膜内の血液循環を改善する効果のある内服薬を使用することもあります。
完全に血管が閉塞してしまった場合は、その部分が無血管野とよばれる血管が存在しない領域となります。これを放置しておくとその部位に新生血管が発生します。新生血管は急な手抜き工事で造られた違法建築物のようなものなので、大変もろいために簡単に出血を起こします。
そのままにしておくとさらに様々な疾患が生じてきますので、無血管野はレーザー手術にて適切に処置しておく必要があります。